現場調査から学ぶリノベーション前に知っておきたいこと Vol:0
〜現場調査(現調)とは〜
当社ではリノベーションプランの計画前に現場調査(現調)を事前に行なっています。
現調とはリノベーションで「何ができて何ができなか」を把握するための「現場情報集め」のようなイメージをもっていただければわかりやすいと思います。
初回のお打ち合わせでご要望やご予算をお伺いした後に現場を訪問させていただき現調します。ご要望をもとに現場を確認して「要望を実現可能かどうか、実現する方法はあるか」を把握してプランニングしていくことになります。
現調では竣工図書の確認や現場採寸、持ち込みの家具など数々の情報を収集します。
確認項目は非常に多いですが、事前にこれらの情報を収集することで精度の高いプランニングや打ち合わせ、また工事を円滑に進めることできます。
理想の空間づくりに間違いや「思っていたのと違う」というような事態を避けることができます。
これからリノベーションされる方やリノベーションを検討中の方、ご自身で間取りのプランニングをしてみたい方などは少々難しく感じるかもしれませんがこの連載でリノベーションのノウハウを掴んでいただけると思います。
それぞれのページで詳しい記事をご覧いただけます。
最後にVol:9では現調や竣工図によって集めた情報をもとに初期の平面プランをどうやってつくっていくのかを簡単に解説しています。
Vol:1 PS(パイプスペース)の現調
現調事項 | 現調理由 |
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PS(パイプスペース)位置 | 上下階の共有の上下水配管スペースであり、中にある縦管は動かしたり撤去することができないため間取りに影響することがある。 |
給排水管関連 | キッチン、トイレ、洗面台の給排水管のルートや排水位置(壁排水、床排水)を確認。 |
Vol:2 給排水設備の現調
現調事項 | 現調理由 |
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キッチンの給排水経路 | キッチンの移動を検討する際に排水勾配をとるために排水ルート部の床を高くして段差をつける必要があるか。 |
トイレの給排水経路 | 排水方向(壁排水or床排水)によってトイレの大きな移動や軽微な移動がどれほど可能かどうかを判断。 |
洗面洗濯の給排水経路 | 洗面台、洗濯機の移動に際して排水経路を段差なしで床下で確保できるかどうかの判断。 |
お風呂の給排水経路 | 浴室の移動がどれくらい可能かを確認。 |
Vol:3 電気設備、ガス設備の現調
現調事項 | 現調理由 |
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分電盤 | 分電盤の位置確認。また200Vの電気設備を設置できるかどうか「単相3線式」かどうかを確認。 |
照明器具(コンセント) | 天井の懐がどれくらいあるかを確認。 |
エアコン | 既存のエアコン設置場所、台数、エアコン、OAスリーブの位置を確認。 |
インターホン、オートロック | 既存のインターホン位置を確認。オートロック付きのインタホーンの場合は基本的に交換不可。 |
防災設備 | マンション室内の連動型(他住居と連動している)の防災設備の有無を確認。 |
電気容量 | 既存の電気容量を確認。新しい生活で電気容量のアップが必要な場合には契約アンペア数の変更が可能か確認。 |
ガス設備 | プロパンか都市ガスを確認。給湯器の確認。号数や年式、「給湯専用」や「追い焚き」などの確認。 |
Vol:4 換気設備の現調
現調事項 | 現調理由 |
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レンジフード | キッチンのレンジフードの排気経路を確認。屋外への排気位置は変更できないため、キッチンの移動やレイアウトがどの範囲で可能なのかを確認。 |
浴室換気、脱衣所換気 | 浴室、脱衣所の換気扇の排気経路を確認。屋外への排気位置は変更できないため新しい間取りを考える際の情報として現場の排気経路の確認。 |
トイレ換気 | トイレ換気扇の換気経路を確認。換気扇なしの場合は浴室や脱衣所との換気経路を兼用する2室換気や3室換気の換気設備の新規導入を検討。 |
Vol:5 躯体(構造)の現調
現調事項 | 現調理由 |
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躯体間寸法 | スラブ間寸法を確認。リノベ後の天井高さにからんでくるため。 |
梁下寸法 | スラブから梁下までの寸法を確認。新しい間取りプランによって邪魔にならないように計画するため。 |
柱寸法 | 柱が邪魔にならないように計画するため確認。 |
Vol:6 既存仕上げの現調
現調事項 | 現調理由 |
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既存躯体壁仕上げ | 既存躯体面の壁仕上げの状況を確認。ふかし壁(壁裏にスペースをつくる)工事の要不要の判断材料になる。 |
既存床仕上げ | 既存床仕上げの状況を確認。排水経路の確保や新規電線配線の経路の確保、管理規約による遮音規制の遵守のため状況を確認。 |
既存天井仕上げ | 既存天井仕上げの状況を確認。照明器具や換気扇、電気配線のために天井ふかし工事の要不要の判断材料になる。 |
断熱状況 | 既存の断熱材の施工状況を確認。リノベーション後の住空間で高断熱性能を求められる方や、既存状況で断熱材が入っていない場合は新しく断熱の施行をご提案するため。 |
Vol:7 共用部の現調
現調事項 | 現調理由 |
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サッシ周り | サッシの動き、ガラス、錠の破損状況、網戸の破れを確認。 |
玄関扉 | ドアチェックや仕上げを確認。状態や新しい空間の意匠に合わせて仕上げを変更するかどうかを検討。 |
エレベーター | エレベーターの寸法を確認。大きなものをエレベーターを使って搬入できるかどうかを確認。 |
搬入経路、養生範囲 | 資材搬入経路を確認。運搬車の一時停止可能場所や搬入経路の指定の有無を確認。共用部廊下やエレベーターの養生範囲を確認。 |
Vol:8 管理規約関連事項
確認事項 | 確認理由 |
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工事申請書類 | 工事申請書の提出を確認。工事概要や工程表の提出と掲示を確認。 |
近隣同意 | 近隣の居住者の同意書の要不要を確認。 |
工事時間 | 日々の作業可能時間を確認。土日祝日の作業の可否も確認。工事可能時間は工期に大きく関わってくるため。 |
床の遮音規制 | 床の遮音規制が定められているかを確認。近隣との騒音トラブル防止のための必須事項。 |
スリーブ穴開け加工の可否 | 配管等により構造体への「穴開け」(コア抜き)の可否を確認。 |
駐車場 | マンション内の来客用駐車場の使用可否や工事車両の駐車可能な場所があるかどうかの確認。 |
Vol:9 初期プラン作成
Vol:1~8までの現調による現場情報をまとめ、「実現可能性の高い」新規プランの作成方法を解説しています。
既存状況という環境内に希望する平面プランを構成できるか、またはどういう条件下であれば成立できるのかをこの段階で判断していきます。